忠七めし

比企郡小川町

 慶応のころ、比企郡小川町竹沢の知行地に、山岡鉄舟がよく訪れた。鉄舟は小川にある二葉といふ老舗の料亭によく立ち寄り、あるとき「調理に禅味を盛れまいか」と注文を出した。そこで八代目当主の忠七は、独自の茶漬を創案し、鉄舟に差し出すと、鉄舟は「わが意を得たり」といって喜んだといふ。これが「忠七めし」である。

 ○この釜を日々に炊きなば、福禄寿、中よりわきて尽くるきはなし  山岡鉄舟

 ○冬かげり海苔めし柚の香はなちけり   長谷川かな女