城峰山の桔梗

 天慶の乱に敗れた平将門は、下総国をのがれ、愛妾の桔梗の前らとともに、秩父の阿隈(吉田町)から城峰(じょうみね)山にたてこもったといふ。幾日かが過ぎたころ、桔梗の前は、理由もなく館を出て、山道をさまよひ歩くなど、不審な行動が見られた。案の定、数日後に藤原秀郷の軍に山を包囲された。将門は怒り狂って桔梗の前を斬り殺した。このときの桔梗の前の恨みによって、秋の七草のうち桔梗だけはこの山には咲かないといふ。

 ○秋の七草うす紫の花の桔梗がナアソラショなぜ足らぬ、城峰昔の物語(秩父小唄)