村君の里

羽生市下村君

 羽生市下村君の鷲神社は、東国開拓の祖の天穂日(あめのほ ひ)命をまつる。元は古墳の上に建てられたといひ、明治の末に横沼神社を合祀してゐる。横沼神社は、天穂日命の子孫の彦狭島(ひこさしま)王の子・御室別(みむろわけ)王の姫(娘)をまつった社で、父・彦狭島王をまつる樋遣川村の御室社へ、「お帰り」といふ里帰りの神事が行なはれてゐた。

 この村君の里に、文明十八年、京から道興准后が訪れて詠んだ歌がある。

 ○誰が世にか浮かれそめけん、朽ちはてぬその名もつらきむら君の里  道興