天橋立

宮津市橋立

 むかし伊邪那岐(いざなき)命が、国生みを終へたので、天上の高天原(たかまのはら)に通ふために梯子を立てた。ところが命がうっかり寝てゐる間に、梯子は海に倒れてしまった。これが丹後の宮津湾にある天の橋立となったといふ。(風土記逸文)

 ○神代よりかはらぬ春のしるしとて霞わたれる天の橋立       続後撰集

 ○そのかみに契りそめつつ神代までかけてぞ思ふ天の橋立      細川藤孝

 この地は天と地の交じはる霊地として、古代から信仰されてきた。京の小式部内侍が、丹後にゐた母の和泉式部のことを詠んだ歌。

 ○大江山。いくのの道の遠ければ、まだふみもみず。天の橋立    小式部内侍