山崎の油

乙訓郡大山崎町

 平安時代の末ごろ、乙訓郡大山崎の地に、山崎長者と呼ばれた石清水八幡宮の神人組織が住み、油を絞るための「しめ木の具」を考へ出して、荏胡麻を製造したのが、「山崎の油」の始りといふ。この組織は大山崎油座ともいふ。山崎八幡宮をまつるとともに、石清水八幡宮の雑務をこなし、禁中や八幡宮へ油を納める代はりに、油の製造販売を独占した。諸国の油業者からは税を取り立て、油業者たちは、山崎八幡宮の許可なくして油の売買はできず、関所を通ることも罷りならなかったといふ。

 ○宵ごとに都に出づる油売り、ふけてのみ見る山崎の月       職人尽歌合