諸歌

 ○忘れずば神もあはれと思ひ知れ。こころつくしの(いにし)への旅     民部卿局

祇園天王社(八坂神社)

 ○神の代の八坂の(さと)と、今日よりぞ君が千歳は数へ始むる      為家 夫木抄

京都市東山区祇園町、白川河畔

 ○かにかくに祇園は恋し。寝るときも枕の下を水のながるる     吉井 勇

寂光院

 ○思ひきや。深山の奥に住居(すみゐ)して雲井の月をよそに見んとは     建礼門院

鞍馬寺

 ○遮那(しゃな)王が背くらべ石を山に見て、わがこころなほ明日を待つかな  与謝野寛

石清水八幡宮

 ○石清水松かげ高くかげ見えて絶ゆべくもあらず。万代までに    紀貫之

宇治

 ○わが庵は 都の辰巳 しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり    喜撰法師