塩竃神社

塩釜市

 塩竃神社は、潮流の神・漁業の神である塩槌老翁(しほつちのおきな)命ほかをまつる。塩槌老翁命は、牛に海水を引かせて塩を作り、この地方の繁栄をもたらした神とされる。塩槌老翁命が塩を煮るときに使った釜は、塩釜駅近くの御釜社に四つがまつられてゐる。

 ○塩釜はもとは七つの釜なれど、三つは引かれて、四つは塩釜

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 ○ちはやぶる神も()の日と思へばや、煙たなびく塩釜の松     橘為仲

(正月初めの「子の日の遊」では、野山で小松を根引いて山づととし、若菜を煮て会食した、その煮炊きの煙を塩焼の煙に喩へた。松は門松の起源、若菜は七草粥の起源ともいふ)

 ○常滑(とこなめ)のかぐろき石の石階を、千重ふみのぼる塩釜の宮      伊藤左千夫

 塩釜は江戸時代に大きな繁栄を見ることになった。いはゆる伊達騒動(三代藩主が江戸新吉原の遊女高尾に熱をあげたことによるもの)以来、盛り場は仙台から塩釜に移ったためであり、ここの酒席などで歌はれる騒ぎ唄が、塩釜甚句である。

 ○塩釜街道に白菊植ゑて、何をきくきく、便り聞く        塩釜甚句