黄金の山

遠田郡涌谷町 黄金山神社

 聖武天皇の天平のころ、陸奥に黄金が産出された。これを祝ふ大伴家持の歌が万葉集にある。

 ○皇祖(すめろぎ)の御代栄えむと、(あづま)なる陸奥山に、黄金花咲く      大伴家持

 金の出た所在地については長らく不明とされてゐたが、「大言海」の著者の大槻文彦が、遠田郡涌谷町の地であると考証した。徳川時代に入り、本吉郡本吉町岩尻からも黄金が掘り出され、そのときの仙台藩主が詠んだ歌もある(元禄十年)。

 ○ふるさとのためしを誰もいはじりに、今を春べと黄金花咲く  伊達綱村