鳴子

 仙北地方を流れる荒雄川(江合(えあひ)川)の上流の玉造郡鳴子(なるこ)鬼首(おにかうべ)にある荒雄川神社は、下流の穀倉地帯の水の神・五穀豊穣の神として信仰されてきた。境内にある主馬神社には、当地で生まれて明治天皇の御料馬として仕へた金華山号がまつられてゐる。

 ○久しくもわが飼ふ駒の老い行くを惜しむは人に代はらざりけり  明治天皇

 ○鞭打つもいたましきまで早くより馴らしし駒の老いにけるかな  明治天皇

 金華山号は死後、剥製にされ、現在は明治神宮外苑の聖徳記念絵画館にあり、鳴子の地には等身大の木像がまつられてゐる。

 鳴子町は、鳴子こけしの産地としても知られる。鳴子こけしは、むかし武蔵坊弁慶が静御前の生んだ子をかくまひ、その子をあやすために考案したものといふ。

 ○陸奥は遥かなれども、夢にまでこころの山々、こころのこけし  深沢要