伊達正宗、さんさ時雨

仙台市

 天正十七年、伊達正宗が、宿敵だった会津の芦名義弘を磐梯山の裾野の摺上ヶ原で破ったとき、一族の伊達五郎重宗が戦勝を祝って歌を詠んだといふ。

 ○音もせで茅野(かやの)の夜の時雨(しぐれ)れ来て、袖にさんさと濡れかかるらん  伊達五郎重宗

 正宗はこの歌に感じ入って、七七七五に整へて家臣に節をつけさせたのが、仙台地方の祝唄の「さんさ時雨」であるといふが、民謡研究家はもっと新しい時代のものだといふ。

 ○さんさ時雨か茅野の雨か、音もせで来て濡れかかる   (さんさ時雨)

 ○わしが国さで見せたいものは 昔しゃ谷風、今伊達模様  民謡

 右の歌の谷風とは、四代横綱のことで、七郷村(現仙台市)出身。