高砂の松

高砂市

 播磨国、高砂の浜に高砂神社が最初にまつられたころ、境内に一本の松が生へてきた。松は根は一本だが、幹は雌雄二本に別れてゆき、御神木とあがめられた。あるとき、伊奘諾・伊弉冉の二神が現はれ、「今よりこの松に魂を宿して、世に夫婦の道を示さん」と告げられてから、「相生(あひおひ)の松」と呼ばれるやうになった。

 ○高砂やこの浦舟に帆を上げて、帆を上げて、月もろともに出で潮の

   波の淡路の島影や、遠く鳴尾の沖過ぎてはや住江につきにけり  謡曲高砂

 ○たれをかも、知る人にせむ。高砂の松も昔の友ならなくに     藤原興風