大輪田の泊

神戸市兵庫区

 福原(兵庫区)は、かつて平清盛らの別荘があった地で、一時は福原遷都も行なはれた。ここの港は大輪田泊(おほわ だのとまり)といひ、古代からの港で、清盛以後、日宋貿易の拠点ともなった。都落ちとなった平氏は、この港から一ノ谷を経て、西へ敗走して行った。

 ○浜清み、浦うるはしみ、神代より千舟の泊つる大輪田の浜     田辺福麿集

 福原の西、長田区駒ヶ林町の駒林神社には、延元元年(建武三年)、新政府に反逆した足利高氏が京を追はれ九州に下るときに参詣して詠んだ歌があり、高氏はこの浜から船出した。

 ○今向かふ方は明石の浦ながら、まだ晴れやらぬ我が思ひかな    足利高氏