但馬一宮の出石(いづし)神社は、丹波道主(たにはのみちのぬし)命と多遅麻比那良岐(たぢまひならき)とが相はかって、天日槍(あめのひほこ)命を祀った古社である。この神は、古代の泥海であった豊岡盆地の北の岩山を開いて濁流を日本海に流し、豊沃な平野を開拓したといはれ、また鉄の文化を伝へた神といはれる。 ○但馬なる出石の里のいつしかも恋しき人を見てなぐさまむ 懐中抄