芭蕉

上野市

 松尾芭蕉は今の上野市赤坂町に生まれた。父は阿山郡柘植郷(伊賀町)の人といふ。

 ○古里や臍の緒に泣く年の暮れ                 芭蕉

 ○山里は万歳遅し梅の花                    芭蕉

 同郷の弟子の服部土芳の新しい庵を訪れて、芭蕉が詠んだ句。

 ○みの虫の音を聞きに来よ草の庵                芭蕉

 服部は、右の師の句から蓑虫庵と名づけ、土芳と名告ったといふ。

 ○さを鹿のかさなり臥せる枯野かな               土芳

 土芳は服部家に養子に入ったのだが、服部氏とは、阿拝郡服部郷に興った氏族で、服部半蔵などとも無関係ではないのだらう。柘植を名告る忍者も多い。

 ○限りなく思ふ心をつげの山、やまくちをこそたのむべらなれ   松葉集