伊勢国

 神武天皇の大和入りの後、天皇の命を受けた天日鷲(あめのひわし)命(天日別(あめのひわけ)命)が、伊勢の国を平定した。そのとき、伊勢国にゐた伊勢津彦(い せ つ ひこ)は、強風をおこし、潮を吹き上げ、波に乗って東へ去ったといふ。天日鷲命は、宇治山田付近の村長の大国玉命の娘・弥豆佐々良(みつささら)姫を妻とした。これが度会(わたらひ)氏の祖先である。(風土記逸文)

 伊勢津彦は信濃国水内郡へ遷ったともいふ。度会氏は豊受神宮(外宮)の禰宜である。

 ○片削(かたそ)ぎの千木(ちぎ)は内外にかはれども、誓ひは同じ。伊勢の神風   度会朝棟

 右の歌は伊勢神宮の内宮と外宮の千木の片削の向きが異なることを詠んだもの。