佐渡の順徳院

佐渡

 承久の変で佐渡へ移られることになった順徳院は、佐渡へ向かふ船の上から、不運にも小刀を海に落とされた。その無念さを御身になぞらへて御歌を詠まれた。

 ○つかの間も身もはなたしと思ひしに、海の底にもさや思ふらん   伝順徳院

 すると竜神があらはれ、院に刀を献じたといふ。

 佐和田町二宮(にくう)の二宮明神は順徳院の皇女の忠子姫をまつるといふ。忠子姫の歌が伝はる。

 ○またも見む、しづが五百機、織りはしのをりな忘れそ、山吹の花  二宮

 ○青柳の糸引き添ふるはた川は、波の綾織るひまやなからむ     二宮