居多神社「片葉の芦」

上越市五智

 上越市付近に、古代の越後国府があったといはれる。大国主命・奴奈川姫・建御名方命(諏訪神)をまつる居多神社は、越後一宮として栄えた。

 ○天の原、雲のよそまで八島守る神や涼しき沖つ汐風       尭恵

 むかし親鸞が越後へ配流となったとき、居多神社を詣でて歌を詠んだ。

 ○末遠く法を守らせ、居多の神、弥陀と衆生のあらん限りは    親鸞

 かう詠んで歌を神前に供へて祈祷すると、境内の芦の葉は、一夜にして片葉になったといふ。今も居多神社の境内には片葉の芦が群生する。片葉の葦は、全国各地で、神に捧げられたり、また神の依代とされ、神聖なものとされ、各地の「七不思議」の一つに取り上げられることも多い。