大杉神社

稲敷郡桜川村

 霞ヶ浦の南、東へ突き出した半島伏の地域を、「安婆島(あばのしま)」といった。この地にそびえる杉の巨木は、航海の標識でもあり、海や川を守護する神木でもあった。

 神護景雲元年(767)日光の二荒山を開く旅の途中の勝道上人が、この地方の疫病を退散させるため、巨杉の下で祈祷すると、三輪(大神神社)の神が杉の大枝に飛び移り、ここに留まった。これが大杉大神で、以来、「海河守護、悪疫退散」の守護神としてまつられてきた。文治年間(1185〜1190)ごろ常陸坊海存といふ社僧があり、数々の奇跡を興して、巨体で天狗のやうな容姿だったことから、天狗信仰も広まった。江戸時代には、舟運の発達により、関東の河川流域や沿岸地方にまたたくまに分社が拡大し、民謡「あんばばやし」(大杉ばやし)を歌ひながら人々はこの地に詣でた。大杉の神の信仰は、「あんば信仰」ともいはれる。

 ○あんば大杉大明神、悪魔をはらってヨーイヤセ…       あんばばやし

 ○あんばの方から吹く風は、疱瘡かるくの便り風        あんばばやし