新治

新治郡新治町

 倭武(やまとたける)命(天皇とも)が、新治(にひばり)の地で、国造のひならすの命に、新しい井戸を掘らせたところ、清き泉が流れ出た。その水をお褒めになり、手を洗はうとされると、衣の袖が垂れて泉に浸った。袖をひたしたことから、「ひたち」の国の名となったといふ。

 ○筑波嶺に黒雲かかり、衣手(ころもで)ひたちの国             常陸国風土記

 「衣手」は常陸の枕詞であり、右のやうな物語が篭められた言葉として、古くは使はれた。