浮布の池

太田市

 太田市三瓶町池ノ原にある「浮布の池」は、三瓶山の噴火で堰き止められてできた湖である。むかし池の原の長者の娘の迩幣姫(に へ ひめ)が、美しい若者に誘はれ、この池に身を投げた。若者は池に棲む大蛇であったといふ。姫の着てゐた衣が水面から浮きあがるかのやうに湖水が白く見え、浮布の池の名となった。池の中の島に迩幣姫(にへひめ)神社がまつられてゐる。

 ○身はかくてうきぬの池のあやめ草、引く人もなきねこそつきせめ  藤原知家