素戔嗚尊

 むかし八俣大蛇を退治された素戔嗚(すさのを)命は、須賀の地で、「吾ここに来まして、我が心すがすがし」とおっしゃって、ここに宮を御造りになった。このとき美しい雲が立ちのぼるのを御覧になり、御歌を詠まれた。

 ○八雲立つ出雲八重垣、妻()みに八重垣つくる、その八重垣を

 斐伊川支流の山間の大東町須賀に、須我神社が祀られてゐる。東隣の八雲村には熊野神社{大社}がある。松江市南部の八重垣神社は、もとは佐久佐(さくさ)の神(媒女(さくさめ)の神)をまつってゐたが、中世に須我神社の神を合せてまつり、今の社名になったといふ。さくさめとは酒醸女の意味といふ。

 ○神の世の昔をかくる色なれや、白ゆふ花のさくさめの森      水無瀬氏成