南方熊楠

 和歌山市に生まれた南方熊楠(みなかたくまくす)は、明治のころ世界を巡って植物学、博物学を究め、西洋の民俗学の紹介も手がけた。紀州の材木をねらった大阪商人が大賛成した神社合祀令には、反対の行動をとった。晩年は田辺市に住み、南紀の植物研究に没頭し、昭和四年の天皇行幸のときに御言葉を賜った。

 ○一枝も心して吹け、沖つ風。天皇(すめらみこと)のめでまし森ぞ        南方熊楠

 昭和三十七年、再び南紀を行幸された昭和天皇の御製。

 ○雨にけぶる神島を見て、紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ     昭和天皇