飛騨の匠

 右のやうに飛騨にはさまざまな名工の伝説がある。大和朝廷は飛騨には他の税を免除して工人の徴用だけを求めたといふ。鎌倉時代の末に長滝寺(郡上郡白鳥町)などを手がけた藤原宗安といふ人は、飛騨権守ともいはれ、江戸時代の大工たちに崇敬された。大工たちは藤原宗安の肖像画を秘蔵し、その絵には次の歌が書かれてあった。万葉集(2648)に類似の歌がある。

 ○とにかくに物は思はず、飛騨たくみ、打つ墨縄のただ一筋に