玉前の神

長生郡一宮町 玉前神社

 九十九里浜の南端、長生郡一宮町の玉前神社は、海神の娘である玉前の神(玉依姫命)をまつったものである。

 むかし玉前の神が懐妊されたとき、三年目にやうやく若宮がお生れになった。その時、浜辺に一個の明珠(あかるたま)が流れ着いたといふ。

 また、里の長者の翁が、ある夜の夢に感じるところがあり、夜の浜に出ると、突然、東風が起り、波間に光り輝く物が見えた。その光の玉は大波とともに浜に流れ着き、翁がこれを拾ひ上げて祠を建てて祀ったのが、玉前神社の始りであるといふ。

 ○玉の浦の清き渚を行きかへり、浪にかがやく月をみるかな     海上胤平

 ○夕潮に月さへみちて、打ち寄する浪もかがやく玉崎の浦      海上胤平