沢内甚句

和賀郡沢内村

 和賀川上流の沢内盆地は米の産地として知られる。沢内村には、江戸時代に年貢を納めることができなかった庄屋(名主)が娘のおよねを領主に差し出して、免除してもらったといふ話がある。およねは、およね地蔵尊にまつられてゐる。

 ○沢内三千石お米の出どこ、桝ではからねで箕(身)ではかる   沢内甚句

 およねを歌った沢内甚句はこの地方の盆踊唄である。年貢が納められなかったのは飢饉が原因だといふが、盆地の複雑な地形に作られた隠田の問題やらがあったのではないかと思ふ。沢内産の米は、南部牛を飼ひ慣らす牛方(うしかた)によって運ばれ、南部牛追唄に同じ歌詞が唄はれる。