志賀理和気神社(赤石神社)

紫波郡紫波町

 延暦二三年(804)に坂上田村麻呂が、東北開拓の守護神として香取、鹿島の二神をまつったとされるのが、日本最北の延喜式内社・志賀理和気(しがりわけ)神社であり、紫波郡紫波町桜町に鎮座する。境内には三尺余の赤石があることから、通称「赤石神社」ともいふ。

 ○今日よりは紫波と名づけん。この川の石に打つ波、紫に似て   斯波孫三郎詮直

 江戸時代の南部三三代藩主の歌。

 ○御社はとまれかくまれ、志賀理和気、我が十郡の国のみをさき  南部利視

 東北地方には、田村麻呂が創建したといふ神社仏閣は多い。『御伽草子』の話では、田村麻呂の母は、陸奥国はつせ郡田村郷(福島県田村郡)の賤女(下級巫女)だといふ。田村麻呂伝説の流布には、日本の多くの伝説がさうであるやうに、さうした職業の人々の介在が想像される。