孝行橋

鹿児市

 鹿児島城下恵比寿町に元板橋といふ橋があった。橋のそばに正右衛門といふ貧しい若者が、重い病の母と暮らしてゐた。その親孝行の暮らしぶりを藩主の島津吉貴が賞でて屋敷を与へるなどしたといふ。橋の名は孝行橋と呼ばれるやうになり、橋柱に歌も刻まれた。

 ○幾世にか掛けて朽ちせぬ人の子の道ありし名は橋に残りて