象頭山の清少納言塚

仲多度郡琴平町

 讃岐の象頭山の鐘楼のそばに、塚があり、「清少納言の塚」といはれた。むかし寺でこれを移転しようと思ひ立ったころ、僧侶の夢に女が現はれて歌を詠んだ。

 ○現つなき跡のしるしを誰にかは問はれんなれど、ありてしもがな

 この歌により清少納言の墓に間違ひないとわかり、そのまま手をつけぬこととしたといふ。諸国に似た話があり、甲斐国韮崎では赤染衛門の話になってゐる(「なき跡のしるしとなればそのままに訪はれずとてもありてしもがな」)。