大歳神社

真庭郡新庄村

 寛永十五年、出雲国造職の北島氏が京へ上るとき、美作国へ入って新庄宿で暴風雨に遭遇した。雨風を避けようと大歳神社の前まで来ると、神門は固く閉ざされてゐた。国造職が困ってゐると、どこからか声が聞え、鍵がはづれて扉が開いた。国造職は大いに感じるところがあって歌を詠まれた。

 ○火をえらび水を清むるみつぎもの、風にまかせてそなへてぞ置く

 のち国造職からは神社に特別の奉賽があったといふ。

 鳥取県から新庄村へ入る四十曲峠は、その名の通りのつづら折りの道が続く。

 ○名だたるもうべなりけりな。伯耆山この世に知らぬつづら折り道  出雲路日記