八百比丘尼

小浜市

 八百比丘尼(はっぴゃくびくに)は、室町ごろに北陸路など諸国を渡り歩いた尼僧で、八百歳も生きたといはれ、しかし、その容貌は十五、六歳にしか見えなかったといふ。人魚の肉を食べたことで長寿になったと言はれ、村々を巡り歩いては、源平のいくさなどを自分の見たこととして語った。 小浜の八百姫明神は、八百比丘尼をまつったもので、里の子供のお守り袋の中身は、八百比丘尼のお姿であるといふ。小浜の姫神の歌も伝はる。

 ○若狭路やしらたま椿、八千代経てまたも越えなむ、矢田坂かは

 小浜の空印寺境内に八百比丘尼が篭って成仏したといふ洞がある。この洞穴は丹後の国まで通じてゐたともいふ。