吉崎 肉づきの面
坂井郡金津町 吉崎御坊
越前国は、吉崎(板井郡金津町)に蓮如上人が吉崎御坊を建てて以来、一向宗(浄土真宗)の盛んな土地柄となった。
むかし吉崎の近くの村に、
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さうして念仏を唱へながら、吉崎へ向かった。
家へ帰った老母は、鬼の面をとらうとしたが、顔にぴったり付いて離れない。悔いてどこかへ隠れようにも足は動かず、我が身を恥ぢて自害しようにも手は動かず、ただ苦しんでゐた。そこへ嫁が帰ってくると、母の姿に仰天したが、とっさに一部始終を理解し、母に念仏をすすめた。母はその通りに「南無阿弥陀仏」の念仏を唱へると、面ははがれ、手足も動くやうになったといふ。それ以来、母も上人の教へを受けるやうになったといふ。面は上人に預けられ、今も吉崎の願慶寺(他の寺ともいふ)にあるといふ。