那須の温泉神社

那須郡那須町

 舒明天皇の御代に、那須の茗荷沢村の猟師、狩ノ三郎行広が、白鹿を追って那須岳の麓の霧生谷に至ると、濃霧が立ち込めて行く手をはばんだ。すると岩上に白髪の翁が現はれ、温泉のありかを教へた。三郎がその温泉に行くと、白鹿が傷を癒してゐたといふ。白鹿を射止めた三郎が、その地にまつったのが、温泉神社である。源平の決戦のときには、ここで那須与一が戦勝を祈願したといふ。那須郡内には約八十の「温泉神社」といふ名の神社がある。

 ○みち多き那須野のみ狩りの矢さけびに、のがれぬ鹿の声ぞ聞こゆる 信実

 ○湯をむすぶ誓ひも同じ、石清水                 芭蕉

 那須野は源頼朝の巻狩の地としても知られる。

 ○もののふの矢並つくろふ小手の上に、霰たばしる、那須の篠原   源実朝