松浦佐用姫
東松浦郡浜玉町
宣化天皇の御代に朝鮮半島南部の任那を救ふために
○遠つ人、松浦佐用姫、
○海原の沖行く舟を帰れとか、領巾振らしけむ。松浦佐用姫 山上憶良
それから五日後の夜、姫のもとに通ってきた男があった。容姿は狭手彦にうり二つで、その日から夜毎に来ては朝目覚めると去ってゐた。不審に思った弟姫子は、寝る前に男の衣に麻糸を縫ひ付けておいた。翌朝その糸をたどってゆくと、山の沼に至った。沼には、頭が蛇で身は人間の形をした蛇が横たはり、たちまち男の姿になって歌を詠んだ。
○篠原の弟姫の子を、さ
それきり弟姫子の姿は見えなくなり、数日後に沼の底に遺体となって発見されたといふ。