象潟

由利郡象潟町

 象潟(きさかた)の海は、かつて「八十八潟、九十九島」といはれ、宮城県の松島に劣らぬ景勝地だったといふが、文化元年(1804)の鳥海山の噴火による大地震で土地が隆起し、島はすべて陸続きとなった。この地にはむかし神功皇后が新羅征伐の帰還のとき、しけに遭って漂着し、土地の小浜宿禰の家に休み、この地で皇子を出産されたともいふ。

 ○象潟や雨に西施(せいし)がねぶの花                  芭蕉