阿波十郎兵衛

徳島市

 むかし阿波十郎兵衛は、盗賊に奪はれた主家の宝刀を捜すため、自ら盗賊になって大坂に出た。数年後、その十郎兵衛の家に、故郷から娘のおつるが巡礼姿で親を探しに来たが、妻のお弓は、わが子が盗賊の子と人に知れるのを恐れて、母と名のらずに娘を帰したといふ。(傾城阿波の鳴門)

 ○巡礼の稚児に逢ひたる花野かな                渡辺霞亭

 右の句は、徳島市川内町宮島の阿波十郎兵衛屋敷の跡の句碑から。