"深層水「湧昇」、海を耕す!"

長沼毅10月中に発行された本で、"深層水「湧昇」、海を耕す!"(長沼毅著・集英社新書)を、楽しみながら、また感心しながら読んでいる。
「100億人を養う海洋牧場時代がやってくる」「食の糧を海に求める壮大なロマン」と紹介されている。

折りしもマグロ漁獲量削減の問題が持ち上がったとき。人類の食糧は陸地の田畑ではまかなえなくなり、生命の故郷である海に向わなければならないというのは本当にそうなるのだろうと思う。

日本の神話物語でも、須佐之男命は海原を支配し、同神説もある月読命は「夜の食国(おすくに)」を支配したという。「食国」とはどんな意味だったろうか。
また海幸彦と山幸彦の話では、海底には海神宮(わたつみのみや)や竜宮があるといい、常世国へ旅立った幾柱かの神々の様子は、常世国が海の果てにあったように描かれる。大祓の祝詞では、海底にある「根の国・底の国」が全ての罪と穢れを清めてくれるという。

さてこの本の見出しを拾うと、「森は海の恋人」「大陸移動がクジラを生んだ」「どこでもドアの意外な盲点」などという言葉が見える。
海や海流などにまつわるさまざまな伝説や小説から漫画にいたるまで引用されている。第3章の最後には、瀬戸内海の「浮き鯛」について書かれ、当ブログ関連サイトの「神話の森、歴史と民俗館」が紹介されているのは、嬉しい限りである。
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「深層水「湧昇」、海を耕す!」長沼毅 を読んで | そういうのがいいな、わたしは。(読書日記) | 2007/10/23 01:43
深層水「湧昇」、海を耕す! (集英社新書)長沼 毅 「生物海洋学」という学問があるそうです。 海洋生物学と聞き間違えてしまいそうですが、両者は異なる学問です。 まえがきによると、生物海洋学は海洋における生物の「働き」を論じるもの、だそうです。 本書は、広島大学の長..

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