雪蹊寺

高知市長浜町 高福山雪蹊寺

 ○旅の道飢ゑしも今は高福寺、のちのたのしみ有明の月      御詠歌

 永禄(1558〜70)のころの雪蹊寺は、妖怪の出没する寺だったといふ。あるとき諸国を巡ってゐた月峰といふ僧が、この寺に泊まると、夜中にすすり泣く声がした。

 ○水も浮世をいとふころかな

 次の夜も同じ歌が聞えたので、月峰は、成仏できないでゐる霊があるのだらうと句を付けた。

 ○墨染めを洗へば波も衣着て

 すると泣き声は止んだといふ。月峰は、領主の長宗我部氏に推薦されて住職となり、寺の再興に大いに貢献したといふ。