江戸・物売りの口上、七味唐辛子

江戸売り声百景昔なつかしい物売りの声、豆腐売りや飴売りなどのほか、
バナナの叩き売りやガマの油売りの口上など。
それらをとりまぜて、寄席芸として寄席で演じているのが、宮田章司という人です。『江戸売り声百景』(岩波書店 岩波アクティブ新書)という本も出版されています。
珍しい内容の良い本です。

その中から七味唐辛子売りの口上を引用してみます。
七味とは何を入れるのかの説明にもなっています。

まず最初に入れますのは、武州川越の名産・黒胡麻が入ります、
続いて入れますのは、紀州は有田のミカンの皮、これを一名、陳皮(ちんぴ)と申します、
続いて入れますのは、江戸は内藤新宿八つ房が焼き唐辛子。
続いて入れますのは、東海道静岡は朝倉名産、粉山椒(こなざんしょう)、
四国高松の名産は唐辛子の粉、大辛中辛を決めて参ります。
大和の国の芥子の実が入ります、
最後に野州日光、麻の実が入りまして七色唐辛子。
大辛に中辛、家伝の手法。お好みに応じて調合いたします、
はいどうぞー!

百科事典などによれば他に、シソ、青海苔、生姜などが入ることもあり、七つが固定しているわけではないそうです。
最初は江戸両国の薬研堀の「からしや徳兵衛」が売り始めたものといい、江戸の蕎麦好きには欠かせないものとなりました。唐辛子そのものは豊臣秀吉の朝鮮出兵のときに輸入されたものといいます。
日本三大七味唐辛子というのもあります。
江戸・薬研堀 七味唐辛子 善光寺・八幡屋礒五郎 京都・七味屋本舗

 青くてもあるべきものを唐辛子  芭蕉
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