献花の持ち方、左高? 右高?

戦没者追悼式などで、行なはれれる献花について。
これは、日本独自の新しい慣習のようである。おそらく、神道の玉串奉奠などを参考にはしたが特定の宗教色にならないように考案されたもののように思はれる。

欧米でも献花はあるようだが、日本の献花のように1輪ではなく、花束を捧げることが多い。花束の持ち方は当然、左高(左が花で高く持ち、右は根元を低く持つ)である。勲章やアクセサリーを左胸に着けるように、花束も花が左胸になるように左高である。日本でも玉串は左高に持ち、歌手などが花束を持って歌ふときなど左手で左高である。

ところが、日本の献花の作法では、統一はされてゐないが、右高が多くなってゐるようなのである。
Googleの画像検索を試みてみたら、解説イラストの上位10件のうち、8件が右高。左高は2件のみだった(昨年)。

「冠婚葬祭」のマナーやら作法やらについてネット検索してみると、著名と思はれるサイトは、
「冠婚葬祭マナー百科」 http://5go.biz/kankon/ → 「献花の作法
である。他は葬儀ホールなど企業サイトのページばかり目立つのだが、このサイトは自動広告は入るものの、ネット上では長期にわたって支持のありそうな「老舗」の印象がある。この「冠婚葬祭マナー百科」では、献花の花の持ち方は、左高だと言ってゐる。「玉串の捧げ方に準じます」とも書かれてゐる。多くの企業サイトは右高だといふが、「冠婚葬祭マナー百科」では左高である。

そこで思ふのは、日本の献花も、最初はやはり、左高が普通だったのではないかといふことである。

日本の玉串も欧米の花束も、左高に持つ。利き手の右手でしっかり茎を持ち、左手は花に近い位置を下から支へるといふのが自然な形だらう。
いつから右高が広まり始めたのか、写真資料が多ければ調べることも可能かもしれないが、見つからない。
日本で右高だといふのは、どのような理由付けが想定できるだらうか。
あるいは、政治家でも左高の人の写真も見つかるが、最近の総理大臣は右高が実に多い。政治家の発想としては「右肩上がり」が好ましいといふ縁起担ぎで始まったといふ説(?)もあるかもしれないが、いかがなものだらう。 

最初のころ、葬儀などで、係員は左高に持ったが、手渡しの作法を教へてもらってないので、そのままスーッと参列者に差し出した。参列者は、受け取ったときは右高になり、献花などは慣れてないので、そのまま献花台へ歩いて行った。
これが可能性としては高いような気がする。(手渡すときは左右を持ち替へてから渡すと良いのだが……)

なほ、天皇皇后両陛下の場合は、花束は左高にお持ちになるが、前へお進みのときなどで、ときどきまっすぐに立ててお持ちの写真がある。国民の意見が統一されてゐないのでそうなさるかのようでもあったが、そうではなく、神道儀礼での陛下の御玉串は、大きさも"特大"で、垂直に立てたまま御奉奠になるので、それを連想した次第である。
comments (0) | trackbacks (0) | Edit

Comments

Comment Form

icons:

Trackbacks


  page top