酒造地蔵

幕末から明治初期ごろの印刷物で「酒造地蔵」の由緒が書かれているものが出てきた。

酒造地蔵
当山 酒造地蔵菩薩は 海中出現にして
霊験少からず。往古三浦八兵衛一子病疹
悪腫にして落命免れがたきを、当寺に
祈願せしところ全快を得たり。然に病中
一人の童子 月毎に来り 病人を慰む。
折から酒三五献飲勧喜して去。依てその
跡を尋るに当山に入。その後も時々遊
行す。よって諸願を祈るに神酒をそなへ
誠心を籠れば成就せざる事なし。これに
よって諸人 字して酒造地蔵尊と号す。
又は化身地蔵ともいふ。
(画像クリックで拡大)

三浦八兵衛という者があり、その子の重病に際し、ある寺の地蔵尊に祈願した。その後、家に毎月童子が現れるようになり、病の子を看てくれるので、酒をふるまってもてなした。やがて子は全快し、童子のあとを追ってみたら地蔵尊のある寺に入ったので、童子は地蔵尊の化身だとわかったという。

良い話だが、酒造地蔵の所在が不明である。関東近辺ではないかと思う。「海中出現」とあるので、海辺に近い場所かもしれない。
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Comments

toya | 2010/01/17 10:57
おもしろい話ですね。貴重な民俗学的資料ですね。
こういった資料は、どこから見つけてくるのですか?
森の番人 | 2010/01/18 18:21
先祖の物ですが、三浦という姓が多いのは神奈川県方面でしょうか。非常に流麗な文字なので、著名な寺のような気がします。

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