蔵書管理ソフト

パソコンで蔵書目録を作って管理するソフトウェアを使い始めてみた。
書庫の中で、本の背表紙を眺めながら、いろいろ思うことがあったり、何かの発想が思い浮かんだりすることもあったが、全てのリストをノートパソコンに入れておけば、書庫ではない場所でもそれに近い経験ができるかもしれない、などなど。

したがって管理ソフトは、一覧表のようなものが表示できなくてはならない。起動してすぐ検索キーワード入力になるようなソフトは困る。
Windows98でも使用できるものとして、次の3つが候補にあがった。
 1.私本管理Plus、 2.蔵書管理、 3.Bookshelf Application。
このうちの 3 は、マイクロソフト社の別ソフトが必要とのことで試みていない。2 はできあがったデータを検索する機能は良いのかもしれないが、データを構築してゆく上での操作法に難があるように思えた。結局、1 の「私本管理Plus」にした。

家には何冊くらいの蔵書があるのか不明である。当初は3万〜5万はあるのではないかと思ったが、実際に全体の1割ちょっとくらいだと思うが、そのくらいの量のリストができあがってみると、1600冊。全部で1万を越えるかどうか微妙なところである。「全部」というのは古いマンガや雑誌類を含めての数である。
すでに100冊以上は、この際、処分することに決めた。この際どんどん処分して、最終的には、5000冊程度が残れば良いと思う。

途中までできあがったリストから、著者ごとの冊数の順位を見ると、どういった人にお世話になってきたかがわかる。(小説やマンガは未着手)。
 90冊以上あるのが、柳田国男と折口信夫。ハードカバーの全集のほかに文庫判全集も揃っているので、こういう数字になる。
 30冊以上、
大野晋。意外だったが、国語の他に国文学に触れた著作も多く、かなり文庫や新書になっている。
 20冊以上
池田弥三郎。文庫本や親しみやすい内容の本が多いということ。
杉浦日向子。この人についてはマンガも含む。
中西進。万葉集にとどまらず、古代史関係の本も多い。
 10冊以上
宮本常一、谷川健一、梅原猛、網野善彦、丸谷才一、宮田登、金田一春彦、森浩一。
 9冊
和歌森太郎、吉田東伍(地名辞書)、山本健吉、鈴木棠三、司馬遼太郎、大岡信、藤沢衛彦、樋口清之、
  (以上は、リスト作成途中のもの)

●補足
以上は2006年8月のものだが、同年9月までに3000冊超のリストを作った。歴史・民俗学・国文学・国語学関係のもののみ。ムック類含む。
未着手の分野は、近代文学・西洋哲学・神道-神社関係・自然科学・心理学・音楽・美術・漫画評論・漫画など、これらを含めて1万弱と推定される。
2012年までの6年間でおよそ2000冊増えたと思う。管理ソフト用のバーコードリーダーは購入したが、追加分のリストは未作成。そのうち数十冊単位で多い著者は、宮本常一、丸谷才一、稲垣史生など。
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難しい漢字

5月18日の「パソコンで使えない漢字の表現法」に関連して

小此木、あるいは、此木、という地名があり、「此木」はコノギと読む。
柳田國男の『地名の研究』によると、「柴」という一文字だけでコノギという地名もあるらしい。同書によればコノギはクヌギの転で、クヌギは今は櫟(くぬぎ)などの特定の種類の樹木のことだが、時代や地方によってさまざまな樹木をそう呼ぶことがあり、元は要するに薪に用いた木という意味らしい。昔話で、おじいさんが山へ柴刈に行った、というときの「柴」のことで、シバともコノギとも言った。
柴と書いてコノギと読むのが不思議に思われた時代に、柴の字を二つに切り離して此木とし、間違いなく皆がコノギと読めるようになったというわけである。

もし難字でも2つに分けられるものがあれば、二文字の表記を通用表記としても良いのだろうが、そううまく分けられるものは少ない。上が「神」で下が「虫」の漢字で「かいこ(蚕)」と読む字を見たことがあるが、2文字の「神虫」で「かいこ」でも良いかもしれない。

広島市安佐北区に野冠とも書く地名があり、「のかづき」という。本来は冠ではなく「門構えに屋」という字だが、もとの意味に近い漢字として「冠」の字も使われるのだろうと思う。
奈良県橿原市の軽樹村坐神社(かるこむらにますじんじゃ)は「軽」でなく「木へんに?y」という字だったと思うが、木を車におきかえて「輕」の字がかなり用いられている。

地名の表記では、少々漢字表記が変わっても抵抗感は少ないのだろう。
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パソコンで使えない漢字の表現法

外字パソコンで使用できる文字の数には制限があり、日本の神話に出てくる神さまの名前の漢字表記に苦労することがある。たとえば……

「大日*貴尊(おほひるめのむちのみこと)」。
日本書紀などで天照大神(あまてらすおほみかみ)の別名とされる名だが、*の部分は霊の旧字体の「靈」の字の「巫」を「女」に置き換えた字形である。(私的な電子文書では「霊女」の2字で表している)

「**草葺不合尊」(うがやふきあへずのみこと)
宮崎県の鵜戸神宮の祭神でもある。「**」の字形はどちらも旁(つくり)が「鳥」で、《廬鳥》《茲鳥》というような形。「鵜」の意味である。「鵜草葺不合尊」と表記されることもあるので、こちらで代用することになる。

「闇*神(くらおかみのかみ)、高*神(たかおかみのかみ)」
*の字形は「靈」の字の「巫」を「龍」に置き換えた字形。一種の龍神である。古事記の「淤加美」という表記ですべて代用してしまうが、栃木県などに多い「高*神社」は表記のしようがない。

白山比*命(しらやまひめのみこと)
加賀国一宮の「白山比め神社」の神で、*の字形は「口へんに羊」。神社サイトを見ると、画像イメージでは正しく表記してあるが、テキスト文字では「白山比め」「白山ひめ」と仮名まじりである。「め」の字は、現在使われる日本のパソコンの「IBM拡張漢字」(JISで定められた以外の文字コード)を使うと表記できないことはないので(?v)、個人の電子文書では使用に問題はない。しかしグーグルで「加賀国一宮」と検索すると、検索結果にところどころ「白山比 盗_社」と文字化けしたものがあり、ページを確認すると「拡張漢字」を使用した部分である。神様の名で「盗」という字は縁起が悪い。本家の白山比め神社のサイトで使用しない文字コードなので、WEB文書では使用しないのが良いのだろう。この「め」の字は「〜ひめ」という女神の名で非常に多く使われる。

「伊*波神(いではのかみ)」
「いでは」とは「出羽」のことで出羽地方の神。*は「氏」の下に横棒というか、「低」の旁の部分になる。私的には「弖」で代用することもある。この字は二十八宿の一つで「てい」または「ともぼし」と読むが、ネット上では氏(うぢ)の字をそのまま使って「氏(てい)」などと表現してあるところもあった。

他にも例はあるが、このへんでやめておく。
なかなか難しい問題だが、もっと他に良い表現法はないだろうか。
 * * * * *

玄松子 | 2006/07/07 13:53
お久しぶりです。最近知ったのですが、こういう方法があります。
咩 (咩)
&#x の後ろにunicode の数値を書くと世界共通で利用できるようです。
 * * * * *

●ユニコードを利用した表示例 2006/07/10
孁 孁  大日孁貴尊
鸕 鸕  鸕鶿草葺不合尊
鶿 鶿  (異体字)
咩 咩  白山比咩命
龗 龗  高龗神
氐 氐  伊氐波神
 * * * * *

2006/7/15
鸕鷀 鸕鷀草
2006/7/16
鸕鷀 鸕鷀草 フォントを"MS UI Gothic"に指定
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IME専門用語辞書の公開

最近、パソコンでの漢字変換にマイクロソフト社のIME(漢字変換ソフト)を使い始めている。(これまではWXGというソフトである)
第一印象はなんといっても「語彙を知らない」ということである。ユーザー辞書がまだできていないせいもあるのだが、ここ10年間のうちにIMEソフトは、語彙がが貧しくなったような印象がある。パソコンの世界はハードもソフトも日進月歩といわれているが、IMEのボキャブラリーに関しては退化もありえないことではない。それはたとえば最近の政治家が発する言葉の貧しさ、政治家だけではもちろんないが、そういうことを思えば、想像のつくことである。

「漢字」と変換しようとしたら最初に「感じ」が出てしまい、変換キーを押しているうちに見失ってしまって、カンジと読む人名がずらりと出てきた。40〜50はあるようだ。「ゆうき」と読む人名は80くらいある。これでは非常に効率が悪いので、IMEのプロパティから「人名地名辞書」を削除した。それでもカンジという人名は15例ほど出るので十分だろう。

以前のMEからユーザー辞書の移植を始めてみた。吟味しながらの移植である。その経過や単語リストを日本語IME専門用語辞書の試みというページに公表することにした。単語リスト(辞書テキストファイル)の利用も可能。

★追記
MSIMEの標準辞書の一般語彙の登録語数は7万語くらいだったと思う。「人名地名辞書」だけで同じ数の7万くらいが登録されている。7万のうちの大かたは、「ゆうき」などの最近の子供に名付けられた人名で、漢字の組み合わせ例は大変な数になる。効率が悪いわけである。
こういうケースでは名簿を入力する仕事の人も、いちいち数十の候補から選ぶよりは、漢字を1文字づつ確定したほうが早いのではないだろうか。若い人が自分の名前が漢字変換されたからこのパソコンを買おうという判断基準のためだけにあるようなものだ。
ちなみに1980年代のMS-DOS用NEC漢字変換システムには「ゆうき」とよむ人名は1例も登録されていなかった。そういう人名がほとんどなかったからだろう。
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キッズgoo

キッズgoo というサイトでは、webページを子ども向けにルビをふって表示してくれる。
http://kids.goo.ne.jp/cgi-bin/kgframe.php?BL=0&SY=0&MD=2&FM=0&TP=http://nire.main.jp/rouman/fudoki/index.htm
実際は間違いのルビも多く、じゅうぶんなものとは言いがたいのだが、アクセスは少なくない。一般的な地名の読み方などは大人が使っても参考になるかもしれない。

さらに、子ども向けとして不適切とされた用語を含むページは表示しないようになっている。「歌語り風土記」の項目590ページのうち、60ページがNGだったので、書き替えられるものは書き替えてみた。
どんな用語がNGだったかというと、やはり差別と性に関連するものである。
訂正した用語は次の通り。

[別語で言替え]  部落 朝鮮征伐 妾 狂女 白痴 殺した 自殺した 美少女 幼女 禁を犯して 秘密
[ルビを指定する]  阿保(地名) 三ヶ尻(地名) 女体山 乳 逆鉾 貝合せ 妹(いもうと、いも)
[漢字表記にする]  ちちぶ 「身はくち人に」 たまたま
[かな表記にする]  覗き
[一部をかな表記に]  人妻
歴史的仮名遣の「なほも」を「更に」に書替、たぶん「〜なホモ」との解釈だろう

妹がなぜいけないかというと、和歌で「妹に恋ひ」は「いも」とルビをふらなければ誤解を招くからということなのだろう。貝合せとか秘密とか、よくわからないのもある。

文章の量のわりには訂正箇所は少なかった。沖縄のページで「遊郭」を言替える適当な語が思いつかなかったので、そのままになっているところがある。

★追記 沖縄県のページは「ゆうかく」とルビをふったら通りましたね。なんでもこれで通るのかも(現在のところは)。
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電子書斎の"夢"

20年近く前に、「電子書斎」という言葉を耳にして自分で試みたことがある。といってもWindowsもなかった当時では、1台のデスクトップパソコンが広辞苑を検索するための専用機になっただけだった。今はインターネットにつなげておけば、辞書や事典のサイトもあるし、文献テキストを公開しているサイトもある。そのほか一般のWEBページの情報は玉石混交だが、Googleなどの検索エンジンで調べることもできる。
それでもよく使う市販のCD-ROM事典類がある。

『平凡社世界大百科事典』 日本を代表する百科事典で、記事は小論文形式といってよい。気になる記事があったら執筆者名で全文検索すると関連情報も広がる。難点は、たとえば示扁(しめすへん)などの漢字で今のJIS書体では字形が「ネ」の形になっているものも「示」の字形で表示するなどのため、外字が多用され、コピーすると外字は文字化けすること。

『国語大辞典(新装版)』小学館 Windows95パソコンに付いてきたCD-ROM「Microsoft Bookshelf Basic 96」に収録。たまにではあるが貴重な項目があるのに気づく。俗語風の使用例についての説明も詳しい。

『広辞苑』 1つのテキストファイルにしてしまってエディタで検索している。そうしておけば紙の辞書のように、調べようと思った項目ではないその前後の記事に寄り道することも可能。

『二十一代集』(岩波書店) これもテキストにしてしまった。このCD-ROMは江戸時代の版本を元にしたといい、仮名遣も版本のまま。つまり古今集など二、三の歌集以外では、明治時代に確立した歴史的仮名遣で検索しようとしても一致しないことがある。二十一代集にはない万葉集は若き日に入力しておいた折口信夫『口訳万葉集』を使用している。夫木抄も欲しい。

『平成祭データ』(神社本庁) 神社の由緒など公式の資料を収録。

そのほか『新潮文庫の100冊』に柳田国男「遠野物語」がある。
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