神話の森のブログ

日本の神話や民俗、また近世農村研究

剥けの朔日(ついたち)


時期は6月1日の話。群馬県や栃木県では、この日を「衣脱ぎの朔日(きぬぬぎのついたち)」とか「剥けの朔日(むけのついたち)」といい、昔は7日まえから村人たちが神社に集まってずっとお籠りをしたそうです。ちょうどその時期は、桑畑で蛇が脱皮をするので、畑の中に入ってはいけない、だから養蚕の仕事も休んだということです。
旧暦のころから6月のようですから、ちょうど今ごろの梅雨の長雨の中の「忌み籠り」ということになります。

 花の色は移りにけりな いたづらにわがみ世に降る長雨せしまに 小野小町

百人一首の有名な歌です。「世」とは男女の仲の意味でもあり、長雨のなかを、花を眺めているうちに、花の色が変わったというのですが、色が衰えてゆく嘆きの歌という解釈も多いようです。けれどこの花が紫陽花のことだとしたら、花の色はだんだん赤味をおびて熟してゆくのです。

剥けの朔日とは、水神である蛇の脱皮にあやかって、人間もお籠りをして脱皮するように生命の再生を祈るものとだいわれます。一肌剥けたあとは、赤くみづみづしい肌となるはずです。

現代の6月1日は衣更え。私が若いころは、もっと早く夏服に着替えても良いのではと思いましたが、年齢とともにその時期で良いのだろうとも思います。この衣更えの習慣も、水神の信仰にちなんでその日となったのかもしれません。
最近はクールビズというそうですが、夏も変らぬ背広姿でないほうが、新しい気持ちでものごとにとりくめるような気がします。

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