神話はロマンか?

神話はロマンだと言う人も多い。はたしてそうだろうか。

このブログの本館サイトの「神話の森・神話浪漫館」の名を「神話の森・物語と民俗館」に改称した。浪漫館とは語呂の良いことばだったが、その言葉の軽さは当初から気になっていた。

和歌と民俗学を基軸とした人々の信仰の問題へのアプローチ、その信仰は共同体的の性格をもつものであること、そうしたことが主要なテーマであり、語り継がれる形態は歌物語として、今に書かれる散文も類似的でなければならない、ということだった。この歌物語が神話と呼べるものである。

神話はロマンであるかもしれないし、そうではないかもしれない。
少なくとも古代をユートピアのように言うのは間違いだろう。江戸学の話を聞いていても、江戸は本当に温かみのある人間味豊かな理想的な社会であったかのように思える。それはつまり、現代に忘れかけていたものを思い出させてくれた感動のことなのだろう。過去にユートピアがあったのではなく、現代の心にも通じるものが何百年、あるいは千年以上も続いていたことへの感動であり、それを称してロマンというなら、悪いことではない。あるいはどの時代においても人は悩み苦しみ、そこから時代を越えて感銘しあえる文化を築いてきたのかもしれない。
しかし通じていたと思ったら通じていなかったこともままあるのである。
comments (0) | trackbacks (0) | Edit

Comments

Comment Form

icons:

Trackbacks


  page top