『歌語り日本史』書評より

歌語り日本史----以下は以前に書かれたものです----
 出雲の八重垣神社に「和歌発祥の地」とした標があり、八俣の大蛇を退治した祭神の須佐之男命の詠まれた「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」の歌が石に刻まれてゐる。この歌を始め、神話時代の歌から現代まで、有名無名の歌の数々とともに、日本史のエピソードを語った珍しい読み物である。
万葉集、有間皇子の歌に「磐代の浜松が枝を引き結び、真幸くあらばまたかへり見む」とあるが、これに関連しておみくじを枝に結ぶ習俗の由来が説明されてゐる。その他さまざまの習俗の説明や、名のある社の由緒の一端にも触れることができる。庶民の歌の多い万葉集に習ってか、近世の民謡や流行歌などが混じってゐるのが面白い。
 明治天皇御製と今の皇后様の御歌が、時代を越えて並べて紹介されてゐたりするのも味はひ深い。
 あさみどり澄み渡りたる大空の広きをおのが心ともがな(明治天皇御製)
 ふり仰ぐかの大空のあさみどり、かかる心とおぼしめしけむ(皇后様御歌)
 日本の歌には、旋頭歌、歌合、連歌など、二つ一組で、さらに別の世界を表現する伝統があるのである。本歌取りといふのも同様の精神なのだらう。
----『歌語り風土記』は管理人が数年前に書いたものです。興味のあるかたは次へメールをどうぞ。クリック
comments (0) | - | Edit

Comments

Comment Form

icons:

  page top