鳥霊について

以前にもふれた吉成直樹著『俗信のコスモロジー』から抜き書きしておいたもの - - -

幼児の死を「トリツバサになった、トリツバサにする、鳥に飛ばす、鳥が飛んだ」という。
幼児の葬式は簡単に済ませ、祭はせず、墓にも埋めない。早く別のものに生まれ変わってほしいから供養はしない。

鳥は異界との間を往復する。人は死後に鳥になると信じられた。
古墳の副葬品の鳥形木製品、鳥の埴輪土製品、魂を乗せて飛び立つ。
福岡県鳥船塚古墳の壁画に 船の舳先に鳥。鳥取県では 鳥装の舟人。(天鳥船)
天稚彦の葬儀でのさまざまの鳥の役割。日本武尊が白鳥になったこと。

葬式の次の晩に盆に灰を敷き、翌朝には灰の上に鳥の足跡がつく(蛇、蝶、人の跡とも)。これによって死後に鳥になった、蛇になったと占う。
盥に水を入れ、親族それぞれが笹舟を浮かべ、どの笹舟に乗ってあの世へいったかを占う。天鳥船である。

産屋を鵜の羽で葺き、全部葺かないで残しておくのは、鳥の霊を招き入れるため。
人は生まれる前も鳥だった。今でも生まれてすぐの子の死で鳥になるとされることがある。幼児はいつでも生まれる前の姿に戻ってしまう。

間引き 生まれてすぐ首を絞め、泣いたらトリツバサになる、泣いたら人間になるので絞められないという。
正月に死んだ女は七人ミサキになる。七体の人形とともに埋めて供養する。
鳥のほか、蛇や犬を、自らの先祖とする家系がある。

子供が死んで鳥になる昔話は多い。小鳥前世(分類名)、「馬追鳥」「山鳩不幸」。
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