親子成り

親子成り
その昔、地域社会がよく機能していた時代は、子育てや子どもの教育に、地域の役割は大きかった。子どもはみな村の子であり、長屋の子であって、悪さをする子どもは近所の小父さんにこっぴどく叱られもする。今は家族にかかる比重がかなり重くなった。
家族以外の人との関係も、昔は自然に習得できたのだが、今は子どもは自分で努力しないと最小の関係も築けずに、社会への適応ができないことも多いらしい。
今も昔も、家族以外の人と親密な関係をつくることの重要さについては、変らない。

日本には実の親子ではない仮の親子関係をいう「○○親」という呼び名がいろいろある。子どもが大人へと成長する過程での、通過儀礼に関する呼び名が多い。
 取り上げ親、拾い親、名付け親、乳付け親、守り親、帯親、烏帽子親、元服親、前髪親、筆親、仲人親、など。
これらを民俗学では「親子成り」と総称することもあるが、そのときの関係が一生続く例もあるとのこと。そしてこれらは、実の親がいなくとも、みな成人できる社会であることを物語る。よっぽどの問題児でもなければ、親の代りはいくらでもあったといっても過言ではない。問題児ですらその筋の親分の世話になることができた。通過儀礼に直接関係ないものでは、里親、草鞋親などがある。
 兄弟についても兄弟子、弟弟子などあり、ともあれ、こうした伝統は、今後の家族の問題を考えるにあたっても、重要なものとなるだろう。

以上は昨年書いておいたメモ書きである。
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