公益法人としての宗教法人

公益法人とは、法理用語であるが、広辞苑では次のように説明されている。

「公益法人  宗教・社会教育・慈善・学芸その他公共の利益を目的とし、営利を目的としない法人。⇔営利法人。」

公益法人にはどんなものがあるかというと、
宗教法人(神社や寺)、学校法人(私立学校)、医療法人(病院、診療所)、社会福祉法人、社団法人、財団法人、などである。
そのうちの、宗教法人は、宗教法人法によって、学校法人は私立学校法によって、その要件や、認証。認可の手続きが定められている。

最近の旧統一教会をめぐる言説の中に、宗教法人が税制で優遇されるのは信教の自由を保護するため、というのがあるが、それは十分には正しくないであろう。優遇される理由は、学校や病院や福祉施設と同様に、公共の利益を目的とした公益法人の一つだからであろう。

旧統一教会も宗教法人であるので、公益法人の一つである。問題は、公益法人の名にふさわしいかどうかである。

 (2)
 旧統一教会被害者弁護団の紀藤弁護士によると、解決のためには、これまで日本人が経験しなかったような厳しい態度で臨むことが重要であるとのことである。
 日本人は厳しさに欠けるところがあるということだろう。
 阿部謹也『近代化と世間 ---私が見たヨーロッパと日本』朝日文庫
という本の83ページに、次のようにある。

「ドイツでは非優先の道路から優先道路に出るときには絶対に一時停止しなければならない。優先道路を走っている場合には左右に気を配る必要はあるが、スピードを落とさずに走ることが出来る。日本ではそのような場合事故が起こればどちらにも責任があるとされる。したがって優先道路を走っているメリットはほとんどないことになる。このようにドイツでは責任と義務の関係が明白である。」

 同じ日本人どうしなら被害の側が「自分にも責任の一端が……」などと言うのは挨拶言葉としてはよくあることであり、相手も同じ日本人の意識が共有されていて、「とんでもありません。全て自分の落度であって……」と返す関係なら、それで問題なかったのだろう。そうした古い慣習とは別の欲得が入りこんでいる場合は、そうはいかなくなる。また、自分だけの小さい被害だけでは済まない事件になることもある。
 前述の交通事故の事情について、最近はどうだろう。全て保険会社任せになっているので、当事者はよくわかっていないかもしれない。
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