『日本人の芸能』

日本人の芸能『日本人の生活全集7 〜日本人の芸能』(池田弥三郎著、岩崎書店 1957)なる本を入手。
最初に開いた「屋内の芸能」という見出しのところ(78p)に、興味深いことが書いてあった。「屋内」はルビはないが、ヤナイと読むべきだろ。

「屋内とはかならずしも建物の内部ということではない。かこみ内ということになろう。これも、今日のような建物の構図では、中門というべきものがないので、かこみ内でも、大道とひと続きであって、芸能固有の舞台にも混乱を生じている。
屋内の芸能が内部に進入していくとき、そういう芸能は、門口でひとつの芸能を行うのが常道で、そういう芸能の種目には、門口の芸能種目がある。」

屋敷の門の中へ入る前に、ごあいさつのような、門の手前で行うことになっている種目があるということだろう。村々では、その家の敷地ののことを「屋敷」といったので、表の道から門までの間は、屋敷内である。

(わが家でも、20メートル程度の入り口の道(カイドウといった)の中ほどに門があったが、市街化区域に指定されたため、門の脇の広場のような場所を税の安い畑に作り替え、門は母屋の前の庭への入り口まで動かしたことがあった。広場は近隣の子供たちの遊び場になっていたが、江戸時代には高札場でもあった。戦前までは鎮守の祭礼のときには、この道の入口に、神社とは別に、村の若い衆たちが大きな2本の幟旗を立てたという。)

歌舞伎という言葉の語源についての部分。

「かぶきという語の語源について、だいたんな想像をすれば、門口における祝福、つまり門祝ぎという語が、かぶくという語をうんだのではないか、という想像だ。」

歌舞伎という言葉は、門祝ぎからきている、ということらしい。
言祝ぎが寿(ことぶき)となったように、ホギがブキになる例はある。


この本には珍しい写真がたくさん載っている。祭礼などの写真では、不特定多数の人たちが写っているのもあり、もし自分が写っている写真を見つけたら、出版社に連絡すると、記念品が贈呈されるとのこと。肖像権等の対策を兼ねてのものかもしれない。
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