御飯の食べ方

江戸時代のある手引書に、御飯の食べ方などの作法について書かれていたので、読んでみた。

御飯の食べ方
○箸は三ツ折にして中を取ると心得べし。
○飯のくひやうは、右の手にて飯椀(めしわん)のふたを取り、左の手にうつして下に置き、次に汁椀(しるわん)のふたも右のごとく取りて、飯椀のふたの上にかさね置くなり。
さて、飯椀を右の手に取りあげ、左の手にうつし持ちて、二箸ほどくひて、下に置き、
次に、汁椀を右の手にて取上げ、左の手へうつし、汁をすひ、右の手にうつして下に置く。
また飯を前のごとくにくひ、また汁をすひ、今度は汁の実をくひ、
また飯をくひて、其の次に菜(さい)をくふなり。
引落しのさい、右の方に有る物を左にて引寄せ、左の方なる物を右の手にて取る事有るべからず。(一部を漢字に変更)


「箸は三ツ折にして中を」というのは、実際に折るのではなく、長さを三等分したときの中ほどを持つということだろう(指先が中ほどになる)。持つ位置は、極端に上すぎても、下すぎてもいけない。
食べるときは、飯、汁、飯、汁と実、飯、菜、の順。菜とは副食物のことだろう。汗を流して働く人の場合に汁を先にという考えもあるかもしれないが、和食では、飯が先である。飯は水分の多いものであり、雑炊や粥のときもあるが、米を重視する国民ということなのだろう。茶道の作法で茶よりも菓子が先というのも、菓子を米に見立てているのかもしれない。

○まんぢうくふてい(饅頭の食べ方
まんぢうは、左にて取り、右のひとさしゆびと大ゆびにてもち、二ツにわりて、右の方を下におきて、ひだりよりくふべし。


饅頭は半分に割って、左から食べるということ。本人からみて左が上位である。椀も飯椀が左。

○めんるい喰ふてい(麺類の食べ方
めんるいは、汁をおきながら、一はし二はしすくひ入れて、汁をとりあげてくふべし。


「汁」とだけ書いてあるが、これは汁椀のことであろう。蕎麦等を入れるときは汁椀は置いた状態でということ。
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