鰻ばかりじゃない土用の丑の日

今年は7月19日が土用入りでした。
「木火土金水」という陰陽五行説の考えから、1年を5分の1に分けて、「春夏=木火」「秋冬=金水」と当てはめ、残りの5分の1を、さらに4分割して四季の最後に配当したのが「土用」で、年4回あるわけすが、普通に土用といえば夏の土用のことです。土用の最後の日が「節分」で、これも年4回あるのですが、普通に節分といえば冬の終りの節分のことです。

土用干し(衣類の虫干し)もあり、土用には土はいじらない(期間内の何日かはいじってよい日もある)とかいうこともいわれます。
各地の温泉地では、土用の丑の日に湯治すると1年間健康でいられる、冬に風邪をひかないといいます。この日に水浴びをすると薬草が流れてくるという地方もあるらしいです。
なんとなく禊(みそぎ)や潔斎によって身体が再生するようなイメージがあります。そういう行事が夏の土用の時期に多いことから、土用といえば夏、ということになったのかもしれません。

土用の丑の日には土用餅を食べたり、鰻・しじみ・卵・牛肉などを食べると夏ばてを防ぐともいいます。
最近有名なのは「鰻」ですが、万葉集の大伴家持の歌にも出てきます。

 石麿にわれもの申す。夏痩せに良しと云ふ物ぞ。鰻漁り食せ  大伴家持

石麿という人は食は普通以上なのですが、何故か痩せこけていて、その人をからかったときの歌だそうです。鰻を食べていれば痩せることはないと。しかし口に合わない人もいるでしょう。餅でもシジミでもよいわけです。

なぜ「丑の日」か、については、よくわかりませんが、牛に関することがらも多いです。
中国地方では丑の日に牛に水浴びをさせ、「丑の祇園」ともいうらしいです。
祇園祭は八坂神社の祭で、その祭神は素戔嗚尊(すさのをのみこと)ですが、別名は牛頭天王(ごずてんのう)といいます。この祭に関連して「蘇民将来……」というおふだが家の戸口などに貼られ無病息災の護符とされることもありますが、八坂祭のないところでも「土用の丑の日」に「蘇民将来」のおふだを貼る地方も少なくないようです。

土用の丑の日には、軒下に蜂の巣をつるすと病気をしないともいい、蜂の巣に似た紫陽花の花をつるすという地方もあるとか。
今年の丑の日は28日です。暑さはこれから本番ですから、夏ばてしないようにつとめましょう。
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